「ONIちゃん」
今週のお題「鬼」
母親が携帯の電話帳に登録してる父親のあだ名が「ONIちゃん」だった。
父は鬼のように大きな声で怒り出すし ONIちゃん=鬼ちゃん だと思っていた。
小さい頃は父親の子供である自分は鬼の子で強いんだと謎の自信があった。
どこに行っても怖くないし、誰と話すのも怖くないし、人の言うことを聞いていなかった。
なんでもすごく楽しかった。
小学校に入って人と触れ合う中で不機嫌な人に当たられたり自分が人に当たったり、勘違いしたりして痛い目をたくさん見た。
周りの人から色々言われるってこともよく分かった。
自分の丸い心に鬼のツノみたいなトゲトゲが生えた。
どんどん生えてた。
高校生の頃の自分の心はウニみたいだった。
今はどんどんトゲトゲが増えて細くなって遠目にはボールのように丸くみえる。
たまに大きなトゲを出してしまって、この前は上司に怒られた。
おばあちゃんになる頃にはトゲ一本一本がほそーくなって絡まっていって、マリモみたいになると嬉しい。
大人になると圧倒的な成長がないけれど、不自由が増えることも多い。
けれど心が成長するならそれでもいいかな。
ちなみにONIちゃんは、父親がお兄ちゃんだから「おにちゃん」と呼ばれたことから来たらしい。